シャフト

 シャフトが飛距離に大きな影響を与えると、そのような宣伝が多くなり、またアマチュアゴルファーの感心、そして話題がシャフトに向けられるようになったのは、今から20年ぐらい前でしょうか。色んなシャフトメーカーの人が、私のショップに来られて、「弾きがよくて飛距離が伸びる、ねじれを押さえて方向性が安定する」とシャフトの性能が如何に優れているかを説明してくれて、それほど素晴らしいならと言うことで、沢山のシャフトを試してきました。

 試したシャフトの本数は、しっかり記憶はしていませんが、15本か20本ぐらいは試したでしょう。ある時、ラウンドするのに同じヘッドの新しいシャフトが装着されたドライバーと、ヘッドは同じで、以前に装着した軽量スチールのドライバーを2本もってコースに行きました。飛距離やコントロールの差を見たかったのです。

 コースは平らではなく、ボールが最初に落下した地形によっては、ランがかなり違うことはありますが,ラウンドを初めて2ホール目に新しいシャフトのドライバーと、軽量スチールのドライバーを打ったのですが、止まっているボールが殆ど同じ距離の所にあったのには、少なからず驚きました。自分の勝手な思い込みで、新しいカーボンシャフトは相当飛ぶと思ってたからです。

 おそらくそのあと10ホールぐらいで、2本のドライバーを打ち比べたのですが,当たりが同じぐらいの時は,10ヤードも違わなかったと記憶しています。ただ、スチールの方が飛んだことは無かったはずです。余りシャフトにこだわらない今の自分があるのは、このときの経験があるからでしょう。

 本当に飛距離が伸びるのであるならば、ドライーバーだけではなく、アイアンシャフトを開発したら良いと思います。同じヘッドで,シャフトを変えただけで,1番手や半番手飛ぶのであれば,こんないいことはないはずです。

 2ヶ月ほど前に写真のシャフトを使い始めたのですが、そしてしばらくはこのシャフトを使おうと思うのは、芯の付近で打った時の「打感」です。凄くいい手応えでした。カーボンシャフトがこの世の中に登場して,もうすぐ半世紀です。その間に,かなり進歩したはずですが、カーボンに変わる材質や、全く新しい製造方法が現れない限り、驚くような結果をもたらすシャフトを期待するのは難しいかもしれません。



道具について思うこと

 写真は、今私が使っているサンドウエッジです。ソールに2カ所キズが入っていますが、いずれもクリークに入ったボールを打ったときに出来た物です。草の上にボールがのっているように見えたので、出来る限りクリーンに打ったつもりでしたが、草のすぐ下には石があり、変な音がしたので見たら、キズが入っていました。

 クラブに出来たキズは思い出になります。クラブが単なる道具でしたら、キズが思い出にならないと思います。クラブが単なる道具なのか、それとも「情緒」なのか、人それぞれでいいと思いますが、メジャーでプレーしているイチロー選手は、自分のバットやグローブは、絶対人には触らせないそうです。彼にとっとっては、単なる道具ではないのでしょう。

 道具と身体の関係から考えても、単なる道具ではなく、情緒的な存在として扱った方がよいのかもしれません。前にも紹介したように、人間は箸や、金槌や、野球のバット、ゴルフクラブなど、ある程度使っていると、その道具自体が身体の一部として使うことが出来るようになるそうです。

 野球でホームランを打とうと思ったら、バットの芯か、その近くで打たなければなりませんが、もの凄い速さで飛んでくるボールを、バットの芯を意識しなくても、芯で打てるのは、バットが身体の一部として使えるからなのでしょう。

 身体の一部であるならば、イチロー選手までとはいかなくても、大事に扱った方が、何かいいショットが打てるような気がします。私もクラブを作っている人間として、自分の所で販売したクラブを、長く大事に使ってもらっているのを見ると、ホントに嬉しく感じます。これからも、長く使っていただけるクラブを作っていくつもりです。


技術の本質とエクササイズ

自分が昔やっていたこと

 かなり前のことですが、国立競技場内にアスレチックジムがあり、そこでトレーニングをしていましたが、そこにいたトレーナーの人に身体の鍛え方を相談したところ、そのトレーナーの人がゴルフのスイングを手振りをしながら、この筋肉と、ここの筋肉を鍛えた方が良いですよ、このマシーンをこうやって使いましょうと指導してくれました。
 
 そしてトレーニングを続けると、当然ながら筋肉は肥大してきて、何となく競技能力が向上するような気になりました。やがて体重も増えてきて、LLサイズのシャツも、腕回りなどパンパンになるほど身体を大きくなりました。その頃は、それで満足していたのですが、身体は大きくなったのに、飛距離はそれほど伸びていないと気づいたのは、それから何年もあとのことです。



身体が大きくなって、ホームラン数が減る野球選手

 身体の仕組みを少し考えてみましょう。片腕の重さは、一般的に言えるのは体重の6、7%ぐらいで、体重70Kgの人ならば腕1本の重さは4,5Kgぐらいです。野球の硬式バットの重さが900gか、もう少し重いぐらいですが、腕に比べたら硬式用バットはかなり軽いものです。

 腕は、日常生活で色んな方向に動かします。物を高いところに載せるときは、両腕を頭上高く上げます。腕を動かすということは、その動作に必要な肩や背中の周りの筋肉が動きますので、日常生活の中でかなり「鍛えられて」いると言えるでしょう。

 野球やゴルフでボールを打つという動作は、より多くの「力」をボールに加えるためには、下半身の体重移動とそれに伴う腰の回転、そしてその力を腕からクラブに伝えるわけですが、アマチュアなどであまり飛距離のでない人は、最初に上半身や腕が動きます。もし、今までいい打ち方をしている人が、上半身を鍛え、その部分に力を付けて、スイングの早い段階で腕が動くようになると、インパクトでのスピードが落ちる結果となります。

 エクササイズのメニューを考える場合は、技術の本質をよく理解した上で行わないと、身体を鍛えて距離が落ちる、目指したことと反対の結果に陥ることがありますので、十分注意していただきたいです。